滋賀県の再犯防止の取組について
~支え手よし・受け手よし・地域よしの再犯防止「三方よし」~

ご承知のとおり、滋賀県では近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」や、江戸時代中期の儒者雨森芳洲の「誠信の交わり」、終戦直後から福祉の実践に取り組み日本の「障害者福祉の父」と呼ばれる糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」といった、先達が築き紡いでこられた世界に誇る思想や実践が今なお息づいています。また、琵琶湖の水環境を守るため粉石けんを使う「石けん運動」など、公私を超えた県民運動が展開された地でもあり、更生保護・再犯防止においてもこうした土壌のうえに様々な分野や主体が協働した取組が進められています。県では、青少年立ち直り支援センター「あすくる」による非行等の問題を抱えた少年を対象とした就労・修学等の支援や、建設工事の入札参加資格審査における協力雇用主としての雇用実績等に対する優遇措置、保護観察対象者の臨時的任用職員としての雇用等に取り組んできましたが、特に全国の中でも比較的早い滋賀らしい取組として、福祉分野との連携した罪を犯した人等に対する支援があります。

矯正施設入所者等の中に多くの高齢者や障害者が存在し、その円滑な地域移行に向けた福祉的な支援、いわゆる「出口支援」が全国的な課題になる中、滋賀県では、平成21年度から全国に先駆け地域生活定着支援センター事業を実施しています。さらに、「出口支援」の実践を進める中で、検挙、起訴等の刑事司法手続き段階における福祉的な支援いわゆる「入口支援」の重要性を認識し、平成28年度から事業化するとともに、法務省に対しても施策の提案を行いました。

また、平成28年12月に再犯防止推進法が施行されたことを受けて、本県としても再犯防止推進計画を策定して一層総合的、計画的に施策を進めるために、平成29年度から取組の充実を図ってきました。具体的には、平成29年7月に「再犯防止の推進について~再犯防止のためのネットワーク構築等について~」をテーマとして、大津地方検察庁や滋賀刑務所、大津保護観察所、保護司会など、再犯防止に関わる関係機関・団体のみなさんとの意見交換を実施しました。その後も、県内関係機関・団体による再犯防止に関する会議、県庁内の関係部署による「刑務所出所者等の社会復帰支援に関する連絡調整会議」などでの意見交換を行ってきました。

こうした意見交換の結果を踏まえ、平成30年度に入って滋賀県社会福祉審議会に再犯防止推進計画の策定について諮問し検討いただくとともに、県としても各分野の事業所や民間団体等への訪問を通じて現場の「声」をお聞きしながら、刑事司法関係機関・更生保護団体・社会福祉法人等で構成する「滋賀県再犯防止推進会議」を開催するなど、情報交換・検討を進め、平成31年3月に滋賀県再犯防止推進計画の策定に至ったところです。

令和元年度においては、法務省のモデル事業としての位置づけもしながら計画に基づき、次の5点の取組を進めています。①高齢または障害により、福祉的な支援を必要とする矯正施設出所者等への円滑な地域生活に向けた支援(出口支援)<地域生活定着支援センター事業>②刑事手続段階における高齢者・障害のある人への司法と福祉の関係機関が連携した支援(入口支援)③協力雇用主の新規開拓、相談対応、研修会の開催など再犯防止地域支援員の設置(更生保護法人滋賀県更生保護事業協会へ委託)④支援者への支援を行う事業所等相談アドバイス事業の実施(公益社団法人滋賀県社会福祉士会へ委託)⑤市町域を越えた多職種・多分野の関係者が勉強会や情報交換する場を設け、地域課題の共有や広域ネットワークを構築し、包括的支援につなげる仕組みづくり、です。

また、本年5月26日には法務大臣と知事が、支え手よし・受け手よし・地域よしの「再犯防止「三方よし」宣言」に署名を行いました。この宣言では、①再犯防止に協力する民間の方々が活動しやすいよう、より一層支援をしていく「支え手よし」、②罪を償って立ち直ろうとする人が、繰り返し犯罪に手を染めることがないようより一層支援する「受け手よし」、③多職種・多分野による地域の支援ネットワークの構築により、地域のみなさまが安全・安心して暮らすことができる社会の実現に努める「地域よし」を掲げています。

本県は全国に先駆け、平成29年1月に、「持続可能な開発目標(SDGs)」を県政に取り込むことを宣言しています。罪を犯した人等への支援、再犯防止の推進においても、「誰一人取り残さない」という理念に基づくSDGsの視点に沿って、刑事司法や更生保護の関係の皆様を始めとして分野を越えた国・県・市町・民間協力者が一丸となった息の長い、一人一人に応じた支援等を提供することで、みんなが安心して暮らせる地域社会の実現を目指していきたいと考えていますので、保護司の皆様のさらなるご理解とご協力をお願いいたします。